異常な汗が
スタジオのスミで、
スタッフと番組の
打ち合わせ。
顔を合わせたとたん、
私はぎょっとした。
ディレクターさんだけ
くわっと顔が赤い。
口にするのもなんだし、と
しばらく黙っていたんだけど、
ちょっとの間に
彼の汗がつーと、流れる。
というか、も一回ちらっと
見たら、垂れてきてる。
顔を見た。
赤さが増している。
斑点みたいだ。
何かにかぶれたか。
急な高熱か。
どうしたって
非常事態に思える。
「ちょっと、あんた大丈夫?」
「あ、あははは。大丈夫です。」
「大丈夫ではないよ。」
なんで笑ってるのか
わからない。
寒いくらいの室温の中、
一人だけ赤い斑点の
汗だくなのだ。
しかし、スタッフのみんな
なんとなくニヤニヤしていた。
「どうしたのってば!」
やっとここで彼は
言いにくそうに
口を開いた。
「さっき、ゲストの
松本明子さんの楽屋で
打ち合わせをしたんだけど、
自分が松本さんのヘアドライヤーの
風下に立ってしまい、
ずうっと顔にその温風が
当たったまんまで説明してた」
んだそうだ。
笑った。
言えよ!!
単純な事だろ!
熱いって言えば済むんだ!
松本さんはそんなことで
怒る人じゃないし!
なぜみんな「ちょっと我慢」
してしまうんだ。