無視する親切
飛行機に乗りました。
降りしな、
機内で赤ちゃんが
泣き始めました。
まさに火がついたような、
尋常じゃない泣き方。
音声からその気持ちを
読み取ろうとするってこと自体
おろかなんだけど、
おおよそは
(苦しい、悲しい、面白くない~。)
こんなメッセージだ。
機内の気圧によっての
鼓膜や脳に起こる痛みは、
大人の何倍も強い、と
誰かに聞いた事があります。
本当に、それはそれは
痛い!んですってよ。
個人差はあれども、
なんせそこは
赤ちゃんの哀しさ。
苦悩をうまく口にも出せず、
本当に気の毒な事です。
かといって、ここで
(わかる。あんた、可哀想なのよね~)
という気持ちが先走り、
一瞬でもそれを顔に出して
振り向いてしまうと、
皮肉にもとたんにまるで
(迷惑顔)そのもの
になるもの。
ちょっとためしに
やってみてください。
この違いがいかに難しいか、、、。
同情顔と、
迷惑顔とは
真逆であるべきなのに、
なぜかソックリになるという
顔のむごさよ、、、。
大竹しのぶさんあたりなら
上手に表現できるのかしら、、、。
しかもこれ一つ出してしまえば
おそらく親御さんが
さらにパニックになります。
すみません!
すんませんねえ~!!!!
なんて。
赤ちゃん連れのころの夫婦は、
本当に疲労してばかりな
時代なのです。
私がそういうころ、
一度とても尊敬する方に
こう言われました。
「赤ちゃんに疲労する気分って、
ああ私の一生、
コレからもずうっとずうっと
こうなんだ、な~んて思いがち
なんだけど、
乳児時代ってのは
案外早く過ぎて行くものなのよ。
むしろ楽しもう、とかって思わないと、
後で後悔するほど、あっと言う間に
終わっちゃうのよ。」
赤ちゃんを片手に、
話を聞きながら、私は
この言葉を半分ほど
信じてみることにしました。
本当にそうでした。
結果がいつか
やってくる、などとは思えなかった。
永遠に辛く思える、、、、。
また泣かれてんの?!
なんで?
です。
成長もそんな時に
実はしてる、
なんて事実は、ハッキリ
目に見えない、っつか
わかりにくいんですよね。
かといって、機内では
赤ちゃんに
「泣いてるあんたのキモチ
私は経験者だからわかるんよ~」的な
顔はしてはいけないもの。
むしろいっさい、
振り向きもせず
聞こえてませんでした、
的な無表情でクールなコートを
一枚はおるのが正解。
無視が一番の親切になるという。
しょうがないよねえ。
こういう事は、ある。