満月の思い出

今日は満月だそうです。

満月になるといつも
思い出すのは
私の幼いころの光景。


ふだんからマスコミにも
嘘をついていましたが、
実は私の本名はすゑといいます。
貧しい農村の生まれで
兄弟は11人おりました。

ある日、赤ちゃんをおんぶしながら
川岸で洗濯など
働いておりますと、
通りがかったお侍さんが
かわいそうに思ったのか
夕暮れどき、私に
一杯のかけそばを
めぐんでくんなました。

「ありがとうごぜえますだお侍さん。」
と、何度もお礼を言いました。

その晩、妹たちを呼び、
ぽっかり出ていた月を
そばに浮かべて、
「月見そばだべ!月見そばだべや~!」
と、みんなでそばを食べました。

ところが兄弟全員で
きそってすすったので
かきたまそばになってしまった。

おしまい。

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