取材物語

きのうは一日中
雑誌の取材をたくさん受けました。

それにしても、
「〇〇さんのモノマネは似てますが、
〇〇さんは似てないですねえ」

などという時、人間どうしても
後半の方がニヤニヤするものです。

私は想像します。


私「そうですねえ~。(ニッコリ)
ただ私、今まで一度もモノマネしますなんて
言ってませんけどね!なんちゃって!ははは。」

記者「おやなるほど。だから似てないんですね。ああだからだあ。」
(にやにや)

私「ええ。よく誤解されるんですよ。フーッ」
(タバコの煙を記者の顔にかける)

記者「そりゃあ面白いなあ。わははは。」
(言いながら私に熱いコーヒーを浴びせる)

私「(顔を拭きながら)へえ、面白いかしら。
私はぜんぜん笑えませんけどね。ふふふ。」
(飲んでいた氷水を記者の背中にゆっくりたれ流す)

記者「(背広を脱ぎながら)ハハハハ。
ただね、ボクの方は実は逆に
今まで、モノマネしてたんですよ。ライターのね。
騙されたな、バカ女。」
(一瞬でカラスになる)

私「私も清水ミチコのモノマネをしてたのさ。」
(一瞬でトンビになる)

記者「貴様鳥人間だな。」
(ワシになる)

私「おまえこそ。」
(タカになる)

マネージャータナカ「外でやってください!」


2羽、ビルから飛びたつ。
つかみあいのケンカになり、
羽が飛び散る。

死闘がだんだんおさまると、
そのうちお互いの愛に気がつく。

2羽、寄り添うように飛びながら
愛を謳い、
夕陽に向かって消えて行く。

タナカ「男と女だけは、わからないものだわ」。
言いながら、窓を閉める。


FIN

HOMEへ戻る