実感

「私、チョコレートが
大好きなんですよ～。
食事抜いてでも、
毎日、２枚は板チョコを
食べてるんです～。」
 
と、知り合ったばかりの
メイクさんが言いました。
 
ま、わからないでもないし、
そんなに驚くほどでもない。
「へ～」程度に話に
あいづちを打つ私。
 
失礼ですが、もしかしたら
（こんなかわいいものを
毎日優先して
食べちゃってる私って、
またさらにかわいい？
みたいな？）
というタイプかもしれません。
疑惑の茶色です。
 
しかしです。
 
「毎日毎日、買ってるでしょ～？
明治や森永の板チョコばっか～。
で、こないだ、いつものように
手に取って買おうとしたんですよ～。
 
そしたら、ふと一瞬
（あ、今日から軽い）って、
思っちゃったんですよね。
 
や、気のせいかなあ～って。
 
で～、家に帰ってよく
その包装紙を見たら～、
本当にグラム数がちょっとだけ
減ってたんですよお～。
 
そのかわりに、値上げを
してなかったんだあって、
わかりましたよお～。
すごくないですか～。」
 
「凄いです！」
食い気味に即答した私。
 
なんという実感。
「手に持った時、数グラム軽いなあ」、
なんていうのは、
（こんなカンジ）っていう
イメージすらできませんよね。
 
俳優を目指す方は
この難しい芝居をちょっと
やってみてはいかがでしょう。
 
くすくす。
 
顔だけの演技になりそう。
 
おまえさんの演じるのは
いつだってそんな
キロ芝居じゃねえか！
 
親方、すみません。
親方じゃないか。
監督ですわね。
 
それにしても
（本当にこの方は
板チョコを毎日
食べておられるのだ）
と、 メイクさんの顔を
もう一度
ながめてしまいました。

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