ない袖もふれる

国際フォーラムで行われた
ニッポン放送開局
55周年記念コンサートの
ステージの袖で、
私は松村邦洋さんと
しゃべってて
ふと。

「前から松ちゃんに
聞いてみたかった
ことがあるんだけど、、。」

と、深刻に。

「なんですかミチコさん」

「あなたの目の前で、
和田アキ子さんと
高田センセイが
同じくらいの距離で、
おぼれかけています。
急がないと。

どちらを優先的に
助けますか」

「え、えーっ?!
同じくらいの
距離なんですか」

「そ」

「和田アキ子さんと
高田センセイ
ですよねえ。
それは本当に
まちがいないんですもんねえ」

「うん」

「急なことだし、
答え、待ってもらえますか」

「ううん、もう時間ないもん」

「待ってください。
すぐに出します」

「おそいよお」

「僕、いま服を脱いでたんです」

「じゃ、準備体操したね」

「しました」

「左がアッコさん。右に高田さん。
こっち見てる。
手をふってるよ」

「わかります。見えます」

「どうするの」

「ミチコさん、決めました」

「うん」

「僕が溺れます」

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