ラパン・アジルの思い出

高校一年のときの話。
私の父は
西洋アンティークが趣味で
(喫茶店に陳列)、
たまに東京で買い物をしてました。

一緒に連れてってもらった
白金にある「ラパン・アジル」というお店で
起こったことは、
いまだに忘れられません。

私はまだ子供でしたし、
アンティークなどには
まったく興味もなく、
待ち時間が長いので、
お店の片隅で文庫本を
読んでたのですが。

その店の奥の部屋にいた
お客さんの声が聞こえてきて、
一瞬にして、身体中に震えが走りました。
しびれた。という感じ。

この声、まちがいない!
わあああ、どうしよう!
確信すると同時に
よろよろと立ち上がった、はずが、
自分のひざが、震えのあまりに
うまく歩行できませんでした。

身体とは、こんなに融通のきかないものか、
と、思いました。
ともかく一歩一歩ヨロヨロと
父親に近づき、押し殺した声で
「あのね、これから私の指差す方を、
さりげなく見てほしいんだけど、、、、」と、
頼みました。
そこには

次回に続く。

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