知人が
「朝ごはんを食べると、
お昼もおいしくなって
夜もモリモリ食べちゃう」
だから、と
朝食を
やめたそうでした。
するとおなかが
減りにくいと。
わかる。
食欲って、食欲を
産むんですよね。
旅館のごちそうで
苦しいほど
おなかが
いっぱいだと、
翌朝の朝食が
またたんまり食べられる。
お金もそうかもしれない
と、思い出しました。
学生時代、
バイト先のカフェの
お客さんで、たまに
通帳を見せてくる
おじさんがいました。
どんどん数字が
上がっていってて、
何億円にもなってて、
とても嬉しそう。
(ふふふ)
はにかみながらも
チラっと見せるカンジ。
ほかの知り合いに
自慢すると、
たぶんねたまれたり、
うとまれたりする。
そのため、喫茶店の
バイトふぜい(※当時の感覚です)
になら、自慢に
ちょうどいい
らしいのでした。
カブでな。
うっとりと
見つめられる
預金通帳。
こんなに何度も
飽かず見られてる
預金通帳が
ほかにあるだろうか。
しかし、あっと言う間に
その方は病気で
亡くなられて
しまった。
おじさん、
ちっとも使って
ないじゃん。
あの多額はいったい
どこに散ったの
だろうか。
お金はお金を呼び、
欲は欲を産みながら
止まらなくなる。
夢中にさせるのでした。
株は放っておくほどに
儲けられるらしく、
高額な持ち主は
亡くなってる人こそ
多いと聞きます。
それでもあんなに
嬉しそうだったの
だから、
幸せだったのだ。
ただ、あまりに
あっけない。
とにかくあっけない。
人に時間が
限られてるせいだ。
えんえん生きる錯覚が
あっても、
どんなにたくさん
儲けても、
あっけない。
ぽっかーん。
先にあっけないを
知っておき、
さかのぼりながら
生きよう。
これしか手立ては
ないのでした。